4月9日は君の誕生日だね、20時間もの陣痛を経て君のお母さんは君を生んだ。
生まれたばかりの君は、おかしいことに目をぱっちり開いて周りをきょろきょろと観察しはじめた。お父さんは看護婦さんの手から君を受け取って、赤くてかわいい小さな小さな君はお父さんを見てやっと安心したみたいだ、そっと眼を閉じ眠りについた。
こうして私たちの世界は君を中心として回り始めた。おじいちゃんおばあちゃん、そしてお父さんお母さんの生活の真ん中に君ができた。
お父さんは君に感謝しなければいけないね、だって君は僕とお母さんにこんなにもたくさんの喜びをくれた、おじいちゃんとおばあちゃんにこんなにもたくさんの喜びをくれた。
ああ、もう一つ感謝しなければいけない。おじいちゃんとおばあちゃんがお父さんを成人まで育て上げたのはどんなに大変なことか、お父さんに教えてくれたのも君だ。
お父さんは小さな頃から山あり水ありの農村で成長したけれど、君のおばあちゃんは上海からやってきた。あの特殊な時代、16歳のおばあちゃんは“知識青年”として江西にやってきて、そして僕が生まれた。
僕が16歳の時、僕たちは上海に戻ってきた。16年後に僕と君のお母さんは出会って、そして君が生まれた。
君のお母さんは日本からやってきたけれど、文化は僕ら二人の溝にはならなかった。お母さんは中国語を話し、中国料理を食べ、お父さんと同じように地域概念のない人だ。にぎやかな都市にある小さな部屋に身を置いているけれど、心は自由に空を飛びまわれる人だ。君がこの世界に生れ落ちる前、僕たちはたくさんたくさん考えて“志昊”という名を君につけた。
“昊”は夏の青空 、bluesky を意味している。
青空は人に広くたくさんのことを想像させる、だけど僕と君のお母さんは君に自由な心を持ってほしいと思った。
大地は広大だけれど、あまりに物質的だ。海は広大だけれど、あまりに権勢的だ。青空は唯一、純粋で、優しくて、自由で、あらゆるものを包みいれる。
君への愛もまた、純粋で優しく、自由で、君を暖かく包み込めるよう願っている。
たったの何ヶ月でこんなことを話すのはあまり早すぎるけど、なんたって言葉は君に言わせればあまりにも複雑だからね、でも君の偽りのない微笑から君がもう愛を感じられるようになったと分かった。
今はもう深夜だから君は窓の外からの虫の鳴き声を聞いているけど、朝5,6時だったら鳥たちの澄んだよく響く鳴き声を聞ける。君が今よりもうちょっと大きくなったら僕と一緒に静かにこの二つの鳴き声を聞こう。この世界で一番美しい鳴き声を、生命の旋律を聞こう。僕とお母さんは二人ともこの美しい旋律を感じとることができるから一緒になった。将来君も、一緒にこの旋律を聞ける女の子を見つけられるよう心から願っている。
自由な心を持たなければいけない、この世界はあまりにも多くの制限を受けている。まるで一切が征服、獲得のためであって、そこから恨みが生じ、愛と喜びはどこかへ行ってしまったかのようだ。
だけど覚えておいてほしい、これは別の人の生活方式と追及するものにすぎず、君はこれに心を痛めたり悩む必要はない。君には君の方式があっていいんだよ。
もし君に自由な魂があれば、真に君の自由を制限できる人はいない。
善良な心を持たなければならない。そうすれば君の周りにはきっと、善良な人が集まってくるだろう。悪魔は必然的に君から離れていく。
正義の心を持たなければならない。なぜならこうしてはじめて、恐れは君から離れていくからだ。
僕たちが君を愛するのと同じように、他人を愛することを学ばなければならない。
君はまだとても小さいけれど、ぐっすり眠っていた君が突然驚いて眼を覚まし悲しくて鳴いてしまったとき、僕たちは君にはもう孤独の感覚があるんだと分かった。
この世界にはたくさんの人がいて、絶えず孤独を体験している。君に分かってほしい、この種の孤独は信頼と愛と勇気を殺してしまい、絶え間なく他人を傷つける元凶になった。このことを理解した後君は、愛は心の扉を開く鍵だということに気づくだろう。
君が生まれて3ヶ月のとき、遥かカナダからAlainおじさんがやってきた。お父さんは初めて彼と会って、彼は僕たちに鷹のおもちゃを二つプレゼントしてくれた。君は将来、このとても大きな、羽を振って高く飛べる鷹を見るだろう。たくさんの人とは一度きりの出会いで、とても短い時間しか共に過ごせないかもしれないけど、彼/彼女たちは君の天使だ。彼/彼女たちは君に何かをもたらした後、帰路に着く。君は彼/彼女たちを祝福しなければいけない。
お母さんは君に付き添って遠くまで行く一人目の天使で、彼女の君への愛は無条件だ。
君とお母さんは今ぐっすりと眠っている。神様が君たちを僕にくれたこと、君たちが僕に愛をくれて僕をもう孤独にさせないこと、感謝しています。
僕は、君たちを愛しています。 |
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